タケノコが出てくる春の季節に食べられる鹿児島の郷土料理酒ずし。山の幸、海の幸をふんだんに使い、酢は使わずに黒酒(灰持酒:あくもちざけ)をご飯にたっぷりかけて発酵させる大変贅沢なお寿司です。時間をかけて熟成させることで美味しさを引き出す究極のスローフードです。
黒酒(灰持酒)とは1300年の伝統料理酒。地元鹿児島では薩摩揚げの原料として、またお正月のお屠蘇、郷土料理等に長年使われてきました。お米由来の天然のアミノ酸が豊富なので黒酒と塩、黒酒と醤油だけで料理が出来、また醸造過程で一切火入れ(加熱)を行っていないので活きた酵素の力でお料理だけでなく素材の下処理にも使える万能料理酒です。
発祥は江戸時代頃、島津のお殿様が宴会の後の残ったご飯に具材とお酒を入れておいたところ翌日に美味しそうな香りが漂っていたとか当時女性が公の場でお酒が飲めなかったので、具材の中にお酒をしみ込ませて飲んだとの説もあります。
江戸時代から伝わる郷土料理ですが、琉球塗りの寿司桶や海の幸・山の幸たくさんの具を用意したり、いろいろと道具や手間が掛かるので、今では自宅で酒ずしを作るという習慣はだいぶ少なくなってきました。地元鹿児島でも「聞いたことはあるけど、実際に食べたことがない」と答える人も多く、今ではごく一部の郷土料理のお店で事前に予約しなければ食べることが出来ません。東酒造では酒ずしに欠かせない黒酒(灰持酒)の醸造元として、酒ずしを食べてもらうイベントや作り方を知ってもらう料理教室等のイベントを通して郷土に根ざした伝統食を絶やさないための活動を行っております。
「酒ずし」は、鹿児島で醸造される生酒(火入れされていない黒酒(灰持酒)、「地酒」とも呼ばれています。)をふんだんに使った具だくさんの寿司のことで、押し寿司の様な独特ご飯料理です。特に春先に作られていましたが、最近では季節ごとの食材をうまく組み合わせて作られています。コツは、自然醸造で火入れされていない黒酒(灰持酒)を用いることと、最後の押し加減です。
材料 | 分量 | 下準備 |
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米 | カップ4 | 塩小さじ1.5と黒酒大さじ1をいれて固めに炊き、広げてよくさましておきます。 |
合わせ調味料 | 黒酒カップ3 塩小さじ1 |
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干し大根(乾) | 10~15g | 水で戻し、だし汁1カップでしっかり火を通します。砂糖小さじ1、黒酒大さじ1.5、薄口醤油大さじ1で味付けし煮込みます。冷ましてから1~2cmの長さに切ります。 |
干ししいたけ | 4~5枚 | 水で戻し、戻し汁でよく煮ます。砂糖大さじ1、醤油大さじ1.5、黒酒大さじ2で味付けし、冷まして千切りにします。 |
ゆでたけのこ | 200g | だし汁1カップで煮て、黒酒大さじ1、砂糖小さじ2,塩小さじ1/2で味付けします。冷ましてから、歯ざわりの良い2mm位の厚さの短冊切りにします。 |
つわ | 70g | 色よく茹でて水切りし、皮をむいて、だし汁1カップ、黒酒大さじ1、塩小さじ1/2、薄口醤油小さじ2で味付けします。冷ましてから小口切りにします。 |
さつま揚げ (棒天) |
100g | 2~3mm厚さの小口切りにします。 |
紅かまぼこ・ こが焼き |
各100g | 1.5cm位の短冊切りにします。 |
みつば | 1ワ | 熱湯をくぐらせ冷水で冷まし、絞って水気を取り、1cm程度に切ります。 |
薄焼き卵 | 2枚 | 溶いて、卵2個に対して砂糖小さじ2、塩小さじ1/2、黒酒小さじ2で味付けします。少し厚めの薄焼き卵を作り、1cm角位のひし形に切ります。 |
たい(刺身用) | 200g | 薄塩をして薄く斜め切りにします |
いか(刺身用) | 100g | 薄塩をして短冊に切ります。 |
えび(小) | 10~15匹 | 茹でて厚みを半分に切る |
木の芽 | 適量 | 水洗いし、水切りしておきます |
葉らん | 2~3枚 | 水洗いし、水切りしておきます |