INTERVIEW

黒酒愛好家

vol.10

木原 貴之 さん

株式会社メセナ食彩センター
工場長

鹿児島県

町民へ配られた苗木、農家5戸による試験栽培が産業の起点に

弥五郎どん祭りでも有名な曽於市。特産の1つに柚子があり、果実の搾汁、商品開発、販売を手がける第3セクターが株式会社メセナ食彩センターです。約40年前に農家5戸の試験栽培から始まったという曽於市の柚子産業の歴史。今日、その生産規模は九州トップクラスにまで成長し、2021年には柚子商品のオリジナルブランド「柚子彩」も誕生しました。商品の中の『焼肉のたれ』には黒酒が使われています。

–九州トップクラス。柚子を愛し、柚子を育み、柚子を彩る町

鹿児島県曽於市は柚子の作付け面積が九州トップを誇ります。1997年に創業した株式会社メセナ食彩センターは、特産柚子の搾汁から商品開発まで、産業の中枢としての役目を担っています。今日でこそ、町の主幹産業に数えられる曽於市の柚子栽培ですが、実はもともとは、柚子は一般農家の方が家や畑の敷地にごく小規模に植える程度の家庭的な果樹に過ぎませんでした。それが、今日の市を代表する特産物になるまでになったのには、1つの契機があります。

–町民へ配られた苗木、農家5戸による試験栽培が産業の起点に

昭和57年、旧末吉町役場の新庁舎落成記念として全町民に柚子の苗木が配られました。一帯のやや冷涼な気候が、柚子の栽培に適していたためです。その際、ある5戸の農家の方が柚子の栽培に試験的に取り組みました。曽於市の柚子産業はその試験栽培が起点となっています。その後、土地に適した柚子の栽培が各農家さんへ徐々に広がりを見せ、平成元年には「ユズ栽培同好会」も設立されるなどして、町の柚子栽培は飛躍的な発展を遂げました。そして今日、曽於市の柚子栽培は九州トップの規模を誇るまでになりました。

–地元産柚子で作る特産品。曽於市生まれの個性派商品たち

「柚子彩(ゆずいろ)」という曽於市産柚子に特化したオリジナルブランドを作り、柚子商品を多彩に開発、展開しています。「道の駅すえよし」で人気の柚子果汁入りジュース「ゆずドリンク」や、柚子の果汁と果皮を使ったヘルシーな「ゆずノンオイルドレッシング」など、自慢の地産商品ばかりです。市場は海外へも広がりを見せており、柚子は日本らしい香りを代表するフレーバーとして世界に浸透しつつあります。

–町一体となって産業を活性化。鹿児島の素材と柚子コラボ

「柚子彩」の商品である「焼き肉のたれ」に黒酒を原料として使用しています。同郷の企業として、鹿児島にゆかりのある商品が作れたらという思いで開発に取り組みました。調味料として近い素材に清酒がありますが、この商品では黒酒を用いたことで味が自然とまろやかになり、角がとれてマイルドになった感じがあります。もともと柚子は特有のツンとした味の感じのある柑橘ですが、黒酒がそこを柔和に、まろやかにしてくれているかもしれません。柚子の香りが肉と好相性の自信のタレになりました。

–鹿児島、曽於市に柚子あり。地域は1つの目標へ向かって

曽於市の第3セクター企業として、地域と使命感を持って特産品開発に取り組んでいます。5戸の農家さんから始まった柚子栽培は、今や約380戸の生産農家の方に支えられるまでになり、柚子の市場は国内外でますます高まりを見せています。私が入社した約20年前と比較しても、市の柚子生産量はおおよそ2倍に増えました。そんな曽於市の自慢を、価値としてもっと高め、地域活性に繋げたい思いです。これからも曽於市の皆さんとともに柚子産業の発展を目指します。

PROFILE

木原 貴之/株式会社メセナ食彩センター

曽於市出身。同社工場長。飲食店経営を経て35歳のとき入社。曽於市の特産柚子の産業の中枢を担う第3セクターの製造ラインから、営業、開発、生産管理まで、幅広い知識と経験を活かして統括。地元地域への思いを胸に、産業の発展に取り組む。

株式会社メセナ食彩センターのHPはこちら→ 

URL: https://www.yuzu-mecenat.com

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