INTERVIEW

黒酒愛好家

vol.11

島田 秀樹 さん

有限会社島田屋
代表取締役

鹿児島県

伝統と革新のスピリット。精肉店が打ち出す"食"の新モード

JR鹿児島駅近く、上本町にて営まれる「肉の名門 島田屋」。戦後まもない頃から鹿児島中心市街地に店を構え、人々の食文化の変遷や、鹿児島の黒毛和牛、黒豚といったブランド肉の進展をつぶさに眺めてきました。精肉販売だけではなく、自社での調理加工や、春のお花見のケータリング、肉料理のサブスクなど、時代に先駆けた新しい企画を次々と発表し、鹿児島の食文化を盛り上げています。

–始まりは祖父が創業した「海軍屋」。当時珍しかった精肉店

事業の始まりは、初代である祖父が始めた精肉店でした。海軍上がりの祖父が仲間の2人と「海軍屋」という精肉販売の店を立ち上げ、天文館の銀座通りで営んでいました。ただ、その頃はまだ肉食という文化がタブー視されていた時代だったため、祖父は婿入りでの結婚を機に一度精肉業から離れてしまいます。戦後、祖父は鹿児島駅そばに味噌や醤油を販売する食品店を始めるのですが、そこで再び精肉業を営むようになりました。以後、店は1969年に法人化して現在の屋号となり、今日まで3代にわたり受け継がれています。

–人と活気。あらゆるものが交差し、賑わいをみせた鹿児島駅界隈

1960年代当時、鹿児島駅界隈は鹿児島全体の物流が集中する中心市街地として賑わいをみせていました。JR日豊本線の終着駅としてのターミナルがあり、引き揚げ船や離島に暮らす人達を乗せた船の停泊する港があり、交通の要衝として、生活用品、食品など、さまざまな専門店が軒を連ねていました。2代目、私の父の代の頃には食文化も大きく変化し、輸入牛肉が解禁されるなど、肉牛の需要もますます高まりを見せていきます。松坂牛や米沢牛といったブランド牛が全国に知られるようになり、鹿児島でも黒毛和牛や黒豚の特産化が進みました。

–鹿児島産をもっと身近に。YouTubeチャンネルではお手軽料理レッスンも

鹿児島県産の牛に関して言えば、これまではどちらかというと成牛の肥育より、子牛の生産と県外への出荷が産業の主体でした。しかし、近年では黒毛和牛や黒豚といったブランド肉の肥育も盛り上がりをみせています。島田屋では、地元精肉店ならではの黒毛和牛のステーキ肉、黒豚のしゃぶしゃぶセット、手作り餃子、手作りソーセージなどを県内外へ発送し、鹿児島の味を広げていきたいと思っています。そして、それら自社製品の調理加工において積極的に使用している調味料が、20年来の付き合いになる黒酒です。

自然さがいい塩梅。肉の専門プロが黒酒を選ぶ理由 

唐揚げ、とんかつ、看板商品のチャーシューにと、黒酒を肉にふりかけて使用しています。素材の美味しさを自然に引き出してくれる効果を実感していて、人工的な調味料の酵素剤などと比べても、その違いはありますね。後者では、どうしても人工的な味の感じ、違和感が肉に残ってしまうものです。調理後、時間の経った商品を比較しても違いがあり、黒酒を使った後の素材のはうは質感がグズグズとせず、自然な形、風合いを保っている感じがあります。

–加工食品の分野を大学で研究。知識を活かすのは新しい挑戦

多くの精肉店がある中で、島田屋が他店と違うかなと感じるところは「対応力」のようなものかもしれません。当社は昔から精肉の卸、小売販売が主体でしたが、お客様の「あれはないだろうか、これは出来ないだろうか」という要望に可能な限りお応えしてきました。その結果、店では鹿児島の肉、食材を使った多くの料理を手がけるようになり、今では当店の大きな特色にもなっています。もともと、私は大学で加工食品分野の研究をしていました。そのことも現在の店作りに活きたのかなと思います。

PROFILE

島田 秀樹/肉の名門 島田屋

鹿児島市出身。東京農業大学卒業。大学で主に加工食品を研究し、卒業論文はウインナーをテーマに執筆。大学卒業後、国内のソーセージ店での修行や本場ドイツでの食べ歩きなどを経験し研鑽を深める。帰郷後、2011年に島田屋の代表取締役に就任。精肉食品の製造、特産品開発、肉料理のサブスクサービスなど、斬新な企画を展開する。

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