INTERVIEW

黒酒愛好家

vol.07

田中俊郎 さん

有限会社ベーシック
代表取締役

鹿児島県

肉の臭みに黒酒。加えると加えないとでは歴然

あっさりで胃もたれしにくいとんかつ、揚げ物の料理店として身体思いの美味しさを提供する開花亭。「自分の子供に食べさせられる食事」をポリシーに、厳選の鹿児島産銘柄豚を使ったとんかつはご年配の方にも人気です。こちらでは黒酒を肉の臭み消しとして使用しています。専門店も実践する、肉調理の味なひと手間をご紹介します。

–肉の臭みに黒酒。加えると加えないとでは歴然

とんかつと言えば一般的にロースかヒレだと思います。私たちはこのヒレ肉に黒酒を使います。肉の臭みをとるためです。内臓に近いヒレ肉は外側のロースに比べて、どうしても肉自体に臭みというのがついてきます。かつて個体によっては揚げたヒレ肉に包丁を入れると、ふわっとその匂いが立ち上ることがありましたが、黒酒を使いだしてからはだいぶなくなりました。黒酒が肉の臭みを消してくれているのを実感します。また、使っても肉の旨みが変わらないというのも大きな利点です。

–熟成で生まれる肉の深い味わい。しかし、同時につくのが…

肉というのは熟成によってアミノ酸が増え、旨みも増すものです。しかし同時に臭みも増えてしまいます。発酵によってです。その点で、ヒレ肉はもともと、お客様によって好き、嫌いが分かれる部位でした。「旨みを最大限に引き出しながら、臭みはとりたい」。それは肉の熟成としては対極的な理想です。もちろん、食品業界に特効薬というものがないわけではありません。しかしポリシーに「子供に食べさせられる食事を提供する」当店としては、やはりなるべく体に優しい、自然的な素材を使いたいという気持ちがあります。そこに、黒酒との出会いがありました。

–とりたい臭みをとる。しかも、味に影響なし

「黒酒を使えば味に影響を与えずに肉の臭みをとることが出来ます」。私に黒酒を勧めてくれた方は「あまりよそに知られたくないのですが」と前置きをしてそのように話してくれました。その方は私と同じ肉料理のプロフェッショナルです。私はそれを聞いて早速黒酒を試しました。すると、その通り。これまでのヒレ肉の匂いが驚くほどなくなったのです。当店では、この黒酒を霧吹きで肉の表面にかけて使用しています。黒酒の獣臭さをとる効果は、猪鍋などのジビエ料理にもいいかもしれません。本来臭いとは雑菌によるものです。肉の場合、この雑菌を水で洗浄するわけにいかないので、黒酒は肉の美味しさを左右する重要な場面で活きてくれています。

–どこにも再現できない、自信のオリジナルソース

料理は基本的に、豚肉、鶏肉、お米、パン粉、油は国産のものを使っています。テーブルに置いてある甘口、辛口の2種類のソースは自家製です。創業90年の鹿児島の醸造屋さんと共同で作ったオリジナルで、バナナやミカン、野菜、ワイン、ビネガーなどが目一杯入っています。仕込みに3日かけ、ミキサーがけ、熟成、火入れを経てソースの原料を完成させ、胃腸の消化を助けるセイジ、タイムなどの香辛料を加えて、2種類のソースを造り上げていきます。

–安心安全をこれからもずっと。人に優しいとんかつを

私には恩師がいて、その方がずっと昔に提唱していた「食の安心安全」を事業精神の柱としています。現代でこそ、この意識は広く社会に浸透していますが、その方の時代は、保存料などの人工添加物が無配慮に使われていた平成初頭でした。生産性を追いかけ、養豚に成長促進剤や抗生物質が普通に使われていた時代の風潮の中で、「このままでは未来の子どもたちがダメになる」と危機感を募らせていた恩師の思いを受け継ぎ、創業より約30年、一途に励んでいます。

PROFILE

田中俊郎/開花亭

昭和33年生まれ。中央大学を卒業し、32歳まで埼玉にて鹿児島経済連の製茶事業所に従事。故郷の鹿児島に戻り、商業界での勉強会の中でとんかつと出会い、開花亭を創業。谷山本店、荒田店の2店舗で展開する。

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